有馬山椒
認定日 | 2017年1月17日 |
生産地 | 兵庫県神戸市北区有馬 |
生産量 | 花山椒800g・実20kg(2017年度) |
生産時期 | 5月末~6月初旬に収穫 |
主な調理方法 | 醤油煮、焼き物など |
問合せ先 | スローフード有馬 |
香辛料の一種である山椒は多くの日本料理の味付けに使われており、暑さ対策、下痢止め、咳止めなどの薬効成分があることから貴重な食材であった。現在、市場に出回っているほとんどの山椒は兵庫県養父市を中心に栽培されている朝倉山椒であるが、有馬山椒は有馬地方に自生している品種で、強い辛みが特徴となっている。
有馬山椒は日本料理で一般的な調味料として使われてきた。山椒の実以外の部分も、さまざまな料理に使用することができる。若葉はちょっとした汁物や味噌の味付けに合わせたり、焼き物としても使える。実の醤油煮は、日本酒との相性が良い。熟していない実は青山椒と呼ばれ、煮付けや漬物にも使われる。秋には完熟した実を顆粒にして鰻の蒲焼きにふりかけて食べ、完熟した山椒は七味唐辛子にも含まれている。「有馬煮」や「有馬焼き」といった「有馬」の名が付く料理には山椒が使われており、少し辛みのある味付けとなっている。
山椒は、平安時代に中国から渡来したとされ、魏志倭人伝や古事記などの重要な史料に初めて記載された。
有馬地方では、香辛料の花や実、葉や皮を食べる習慣が残っている。有馬は特に山椒の地として知られ、日本料理では有馬山椒を加えて辛味を出した「有馬」の名が付く料理が多くある。山椒を中心とした食文化が有馬地域に浸透していたことからこの名がついたと思われるが、現在ではほとんどの料理に使われているのは朝倉山椒となっている。
1960年代までは、有馬の家庭では天然の有馬山椒を使った食文化があったが、今では消滅の危機に瀕している。この伝統が衰退した理由の一つは、実のなる山椒の木の在処を明かしていなかったため、地域外に広めることができなかった点にある。現在、天然の山椒の木を見つけることは困難だが、六甲山で再発見された種もあり、地域のコミュニティでこの種を育てるプロジェクトが始まっている。