伊勢いも

2020/9/15

認定日 2020年8月31日
生産地 櫛田川沿岸の肥沃な土壌を有する三重県中南勢地区
生産時期 種いもの植付けは、3〜4月ごろ
主な調理方法 すり下ろしてとろろとして、さしみやうどん、ご飯にかけて食べたり、揚げて食べることもある。

 

食材の特徴

伊勢いもは、ナガイモの一種ですが、一般的な長芋が長形や偏形の物が多いのに対し、伊勢いもはつくねいもというグループに属していて、形状は塊形(ボール状)で、凸凹が多く、表皮は白いのが特徴です。
他の芋と異なり白皮の丸い形で皮がうすくアクがなくタンパク質を多く含んでいます。丸みがあって凹凸の少ないものと、凹凸が多く赤みを帯びたものがあり、後者のほうが粘りが強く品質が極めて良いとされています。
皮を剥いて、摺り下ろすと真っ白で粘りが強く、味は淡白ながらも癖がなくクリーミーなコクがあり、栄養価が高いため、「畑のうなぎ」とも言われます。タンパク質、粗脂肪、可溶性無窒素物などを含み、栄養価も高く、滋養強壮に効果があるとされています。和菓子の「薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)」の皮にも使用されます。
三重県中南勢地区の土壌は砂気が多く排水が良いため伊勢いも作りの適地であり、現在は櫛田川沿岸の肥沃な土壌を有する津田地区を中心に栽培されています。

歴史的、食文化的位置づけ

『伊勢いも』の歴史は、300年ほど前に北畠氏の家臣が大和国より種芋を持ち帰り栽培したのが始まりといわれますが、古文書によれば享保4年に「山の芋」の記述が残っていることから江戸時代中期から山芋として栽培されていたとみられます。主産地の名前から「津田芋」と呼ばれていた時期を経て、明治17年に「松阪芋」と改称し、明治33年に現在の『伊勢いも』と命名されました。
親芋を頭上に頂くように子芋が大きく育つところから「親孝行芋」の別名が有り、古来より婚礼や祝い事の贈り物に重宝され愛用されてきました。

生産を取り巻く状況

大正時代から昭和25年まで、伊勢いもの栽培面積は10〜20ヘクタール程度であったが、40年代半ばに始まった減反政策に伴い、多気町では伊勢いもを転作野菜の主力として位置付け、40ヘクタール程度が作付けされるようになりました。しかし現在は、連作障害による生産量や栽培面積の減少が課題となっています。

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