木曽赤かぶ
2007/3/20
アルカ認定日 | 2007年3月20日 |
生産地 | 長野県木曽郡木曽町を中心とした地域 |
生産者 | 木曽赤かぶネット(150戸) |
生産量 | 46t |
生産時期 | 10月中旬~11月中旬(播種から60日程度で収穫) |
主な調理方法 | 赤かぶ漬け、甘酢漬け、すんき漬け |
問合せ先 | 木曽赤かぶネット、長野県木曽農業改良普及センター (信州SF協会) |
食材の特徴
「木曽赤かぶ」は総称で、細島かぶ(木祖村)、王滝かぶ(大滝村)、開田かぶ(木曽町開田高原)、三岳黒瀬かぶ(木曽町三岳)、吉野かぶ(上松町)、芦島かぶ(上松町)の6品種がある。形状に多少の違いがあるものの、地域が培ってきたもので、遺伝的に近縁な地方品種である。色は単に赤いだけでなく紫がかっている。飛騨赤かぶよりも山形の温海かぶに近い系統で、かぶの部分は緻密な繊維に染み渡る果汁の豊富さ、野趣あふれる歯ごたえと芳香が魅力といえる。
歴史的、食文化的位置づけ
木曽の赤かぶには400年の歴史があるといわれる。寒冷な土地で小肥で育ち、根も茎も全部利用できる赤かぶは、山間地の自給用作物として各地で栽培されていた。品種のルーツは定かではないが、中山道を通じて伝播されたものと考えられる。葉茎を材料とする「すんき漬け」は、貴重品だった塩を使わず、天然の乳酸菌のみで発酵させる漬物で、酢茎漬けがなまって「すんき」という名前になったといわれる。すんき漬けは蕎麦の具(すんき蕎麦)としても珍重されている。
生産を取り巻く状況
各地域の共通の課題は、過疎による生産者の減少と高齢化である。ほとんどの生産者が60歳以上という現実を克服して、生産を維持するか抜本的な解決は見出せていない。しかし、2003年には女性を中心とした各生産者グループが「木曽赤かぶネット」を設立し、研鑽と連携を強めている。さらに、自家採取が一般的に行われてきたが、近年原種の維持や優良系統を育成するため、信州大学などの協力で共同採種圃場の設置や山の中の畑を採種圃場にしている。このような生産者の努力や行政・大学などの支援、さらに域外消費者の認識によって、ようやく復活の動きが見られるようになっている。