水かけ菜

2007/3/8

認定日 アルカ:2007年3月8日
プレシディオ:なし
生産地 栃木県日光市 野口地区
生産者 野口水掛菜保存組合 小杉圭市 ほか3戸
生産量 約1400~1500キログラム
生産時期 12月~3月
主な調理方法 茹でる、煮る、漬物
問合せ先 高橋久美子(所属CV名 スローフード とちぎ)

食材の特徴

野口菜は、かき菜に似たアブラナ科の在来種。気温の低くなる時期に栽培するので、病気の発生はほとんどない。外気温と水温 (11~12°C) が – 致する11月下旬頃に、流水を畑に流し込んで栽培するのが特徴。流水をかけることにより、やわらかく、甘味を増す。葉は大きく、やや厚めでアクがないため、生食もおいしく様々な調理に向き、1月~3月の間に収穫したものが美味しい。種は自家採取のため、他のアブラナ科と交雑しないように気をつけている。

歴史的、食文化的位置づけ

「野口菜」は栽培地の野口集落に由来した名であり、日光山系の湧水を利用し、畑に水を流し込んで栽培 することから「水掛菜」とも呼ばれる。1600年頃、 日光東照宮造営のため、久能山東照宮から来た人達 によりもたらされた、というのが通説。昔から日光 は冬場の冷え込みが厳しいため、畝間に湧水を流し、 水の保温カで野菜が凍るのを防ぎ、冬期にも新鮮な 野菜を確保している。この工夫を継承してきた野口 地区では、野口菜は正月のお雑煮に欠かせない食材。

生産を取り巻く状況

戦前の最盛期には35戸の農家が栽培し(栽培面積 5ha)、冬場の野菜として貴重な存在で、特に正月 の雑煮にはなくてはならない野菜として、地域住民 に高値で販売された 。しかし戦後、度重なる台風 で河川敷が氾濫し土地が荒れ、昭和24年におきた 今市地震(マグニチュード6.4) で湧水の量は半減し、 湧水確保が困難になり、栽培農家、栽培面積ともに 減少した。野口菜の保存のための日光市瀬川の日光だいや川公園が栽培地を管理し、生産できる条件(砂質壌土、湧水)を整え、集落の農家が「野口水掛 菜保存組合」を組織し、共同で栽培にあたっている。 組合員の高齢化、後継者問題が課題となっている。

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