なれずし

2016/12/21

認定日 アルカ:2016年12月21日
プレシディオ:なし
生産地 福井県小浜市、内外海地区
生産者 森下佐彦(他:約60世帯)
生産量 年間約10,000本
生産時期 出荷期間 11月末~4月末
主な調理方法 食べやすい大きさに切り分けそのまま食べる。 火で軽くあぶる。

 

食材の特徴

なれずしは主として魚介類を塩と米飯を混ぜて乳酸発酵させた保存食品であり、全国各地それぞれの特色がある。若狭の鯖のなれずしは、脂ののった近海の春鯖を一旦塩漬けしてから糠漬けし、約1年間熟成させてできた「へしこ」をさらに一晩塩抜きして皮を剥ぎ、腹の中にご飯と糀を詰めて、10~14日樽に漬け込み完成する。発酵食品特有の甘みと旨みがあり、高級なチーズのような香りがする。ご飯と糀のバランスにより家庭ごとに味が異なる。

歴史的、食文化的位置づけ

奈良の平城宮跡地から出土した木簡には、若狭から送られた付札が多く含まれ、熊(すし)を天皇に献上したことを示すものがある。古代において(すし)は所謂なれずし(馴鮓、熟鮓)であったと考えられているが、小浜市内外海地区では真鯖を原料として、現在もこの地方特有の製法で作られるなれずしが伝えられている。鯖のなれずしは、同地区では冬場の保存食であり、特に年の瀬、正月、春の祭りのごちそうとして大切な食品であった。

生産を取り巻く状況

各家庭で作られてきた「鯖のなれずし」は、近年作り手の高齢化、後継者不足、又、家屋の建築の近代化などにより、作る家庭が減少し、伝承の危機にある。流通については、生産者が地元の小売店に直接卸し、ごく一部スーパー等で販売されている。しかし、「桶から取り出した後、速やかに食べる必要があり、美味しく食べられる期間が短い」、「時期も冬場に限られ、旬の時期が短く、年間を通じての生産、販売も困難である」、「原材料費が高く、手間もかかるため儲からない」という理由から広く流通させるためには課題も多い。現状として、ほとんどが実際に小浜市に来てもらって食していただいている。

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