せん

2013/8/23

アルカ認定日 2013年8月23日
生産地 長崎県対馬市全域
生産者 各個人農家、対馬農業振興公社
(対馬市峰町三根:0920-83-0560)
生産量 230kg
生産時期 収穫:11月/加工:2月
主な調理方法 だんご、ちまき、もち、そば、などに加工
問合せ先 長崎県対馬振興局 農林水産部
(所属CV名:スローフード長崎 )

 

食材の特徴

生の芋を臼で砕いて水を入れて篩や布目で濾したものをまた水を入れてアクをとり、天日干ししたものを「生せん」といい、篩や布目で濾したものを自然発酵させてまた水を入れて何度もアクをとってから丸団子を作り、寒風で乾燥させてから砕いて水を入れてアクをとり、団子にしたものを「せんだんご」という食べ方としては、そのまま食べるせんだんごの他、せんちまき、せんもち、ろくべえ、せんだんご汁、せんそば、孝行麺、せんだんごぜんざいなど多彩である。何れもつるっとした食感がある。サツマイモ独特の甘い香りと甘味があり、加工にするとねばり、歯ごたえなどを引き出し、おいしさの要素を持ち合わせている。食べ物を保存し、よりおいしく食べる為に、先人たちが考えだした知恵と技が凝縮された食材といえる。

歴史的、食文化的位置づけ

対馬は日本の九州の北方、玄界灘にある長崎県に属する離島で、田や畑などが極めて少なく、何度も飢饉に見舞われた過去を持つ。江戸時代から甘藷が救荒作物として栽培され、「孝行芋」と呼ばれていた。収穫された孝行芋の5~6割りは蒸すか焼いて生食に、残りの大型や中型位のいもは蒸しいもか干しいもにして保存し適宜食用としたが、小型や傷いもなどの屑いもは捨てることなく「せん」に加工し保存食とし、せんだんごやろくべえなどの対馬に固有の食料をつくる素材として開発され、飢饉における救荒食や常食の不足を補う補助食として受け継がれてきた。

生産を取り巻く状況

構造改善事業等で建設された島内の2関連施設では、常に「ろくべえ」と「せんそば」を食することが出来る。また、学校給食で定期的に小学生に提供されている。しかし、「せん」は孝行芋を発酵させて17の過程を経て複雑な製法で作られる保存食であり、きわめて手間がかかるため、若い世代に伝承されることが難しくなってきている。伝承している農家数も14戸となっている。長崎県内でも認知度が低いため、九州本土や長崎県内で開催される物産展への参加と加工販売に実演やグルメ番組への投稿を試みている。種芋は、各農家が自家保存している。

関連記事