ハタハタのしょっつる

2006/12/21

アルカ認定日 2006年12月21日
生産地 秋田県男鹿市など
生産者 諸井醸造 諸井秀樹、杉山秀樹、ほか2名
生産量 2t
生産時期 12月
主な調理方法 調味料として(鍋もの、煮付けなど)
問合せ先 諸井醸造所 諸井秀樹(SF秋田)

食材の特徴

原料となるハタハタ(Arctoscopusjaponicus)は漢字で魚偏に神と書き、秋田県を代表する県魚である。12月になると産卵のため、水深250m前後の深海から水深数mの沿岸の藻場に一挙に押し寄せ、定置網や刺し網で漁獲される。しょっつる(塩魚汁)は、ハタハタを塩に漬け、数年間も自然発酵させてできる魚醤で、材料はハタハタと塩のみである。発酵の過程を経て豊富なアミノ酸を含むことから、濃厚な旨みを持ち、鍋物や貝焼き料理の調味料として使われる。いしるやいかなご醤油とともに日本三大魚醤油と呼ばれる。

歴史的、食文化的位置づけ

魚を原料とした魚醤の歴史は古く、古来は延喜式(927年)には鯖醤、鯛醤などが記載されている。しょっつるが秋田県の海岸一帯で自家用として造られたのは、江戸時代初期とされている。昭和初期まで醤油は毎日の食事で使えないほど高級品で、なかなか手に入れることができなかったため、醤油代わりの調味料として各家庭で使われていた。豊富に水揚げされるハタハタを原料とし、各家庭でそれぞれハタハタを塩漬けするところから仕込まれ、一戸で3升から5升は作りおき年中使用した。ハタハタは毎日のように食べられ、ハタハタのしょっつる煮は日常的な郷土料理である。

生産を取り巻く状況

秋田県のハタハタ漁はずっと豊漁が続いていたが、乱獲から次第に減少し、1991年には漁獲量は一気に落ち込んだ。そこで、他では類をみない漁民による自主禁漁が1992年9月~1995年9月の3年間に渡って実施された。その後、漁業者の努力の甲斐があり、漁獲量は順調に増加したが、魚価の低迷による豊漁貧乏に陥っているのが現実である。その背景には伝統的な食文化の衰退によるハタハタの消費減少があるといえる。せっかく資源回復したハタハタ漁業の持続的発展のために、伝統的食文化しょっつるの再評価を進めるとともに、新たな加工品開発、料理法開発、販路拡大等を通じた消費拡大が急務になっている。

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