唐人菜

2007/3/8

認定日 アルカ:2007年3月8日
プレシディオ:なし
生産地 長崎県長崎市西山木場地区
生産者 中尾順光氏ほか約30名
生産量 約12トン
生産時期 11月~2月
主な調理方法 漬物、鍋物、雑煮、油炒め、おひたしなど
問合せ先 綾香直芳 (所属CV名 スローフード 長崎)

食材の特徴

長崎はくさいは中国伝来の白菜の原種とされ、別名「唐人菜」と呼ばれる。早生・晩生があり、葉は黄色がかった緑色で縮れてチリメン状になっていて、晩生ほど緑が濃く縮れが顕著になる。葉質はやわらかく、半結球で葉は立ち外開きである。一般の葉物野菜は霜に弱いが、長崎白菜は霜に強く、夜間に冷え込み、昼間は暖かいという気象条件のなかで緑色に色づき、美味となる。間引き菜は浅漬けに、生長して冬場に収穫されたものは、漬物や鍋物、正月の雑煮に利用される。

歴史的、食文化的位置づけ

長崎はくさいは中国山東省から伝来したとされる。寛政9年(1797年)に記された「長崎聞見録」には「唐菜は長崎に多くあり、他国に移し得るに一年は生ずといえども、次年はそのものにあらず」とあり、谷あいで交雑しにくい地形の長崎でのみ、純度の高い品種が保持されていたといえる。昔から、長崎の雑煮には長崎はくさい(唐人菜)が使われ、餅とよく合い、「食べるときに菜(名)を上げて、菜(名)を残す」という意で、縁起が良いとされている。

生産を取り巻く状況

戦前までは作付面積も多く、長崎県内および県外にも広く出荷されていたが、戦後は交配種の白菜に押され、さらに宅地化や農家の減少により栽培面積が激減した。長崎はくさいは、江戸時代からの作物で、ほとんど品種改良されていないため、病気に弱く、育てるのが難しいうえ、市場に出荷しても高く売れないという「農家泣かせ」の野菜である。谷あいで交雑しにくい地形の長崎市やその周辺地域のみで「長崎はくさい」本来の品種系統が守り育てられてきたが、栽培農家が減少し、種子の保存すら難しくなってきている。そのため、長崎市西山木場地区を中心に、中尾順光氏が主催する研究会が長崎市と協力しながら原種の保存栽培を行っている。

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