雲仙こぶ高菜

2005/11/27

認定日 アルカ:2005年11月27日
プレシディオ:2008年8月1日
生産地 長崎県雲仙市
生産者 岩崎政利氏ほか5名程度
生産量 2.4トン
生産時期 12月~3月
主な調理方法 漬物(本漬、浅漬)、サラダ、炒め物、白和えなど
問合せ先 岩崎政利(生産)、馬場節枝(生産・加工・調理)(所属CV名長崎)

食材の特徴

一般的な高菜は、アクが強いため生食には向かず漬物でしか食べることができないが、雲仙こぶ高菜はアクが少なく鮮やかな薄緑になり、ビタミンCの含有量も多く、若い間引き菜だけでなく成長した葉まで、生でおいしく食べることができるアブラナ科の食材である。また、葉茎の付け根付近には独特の「こぶ」が形成され、結球しないという特徴がある。現在、漬物からサラダまで、調理法のバリエーションが守山女性部加工組合の手により広がりつつある。

歴史的、食文化的位置づけ

雲仙こぶ高菜は、雲仙市吾妻町で種苗店を営んでいた峰眞直氏が、1947年頃、中国から持ち帰った高菜の種子から、雲仙地方の風土や食文化に適合するように改良・選抜し、独自の地域種、地方品種として育成したものである。食感、食味とも良かったことから、1960年ごろまでは雲仙市などで盛んに栽培され、漬け物や炒め物をベースとする地域の食文化を支えていた。しかし、その後育成された三池高菜などに比べて収量が少なかったことなどから、次第に生産されなくなり、峰氏の死去も重なり、人々の記憶から消えかけていった。

生産を取り巻く状況

2000年頃には、既に人々の記憶からも忘れ去られ、雲仙市においても経済的な栽培は行われていなかったが、2002年に岩崎政利氏が、かつて20年以上も前に栽培したことがあった雲仙こぶ高菜が、畑の脇に何本か自生しているのを発見。それを契機に、雲仙市の女性や若者を巻き込んだ復活へ向けた機運が高まった。さらに、開発者である峰眞直氏の妻のキミエさんが、亡き夫の遺志を受け継ぎおよそ半世紀にわたり原種の種子を保管していたことが判明。2008年には生産者、加工関係者、市等関係機関が一体となった雲仙市伝統野菜を守り育む会が結成され、農家主体による地域の宝ものとしての保存活動が行われている。

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