ヤチフレプ
2021/5/17
登録日 | 2021年3月31日 |
生産地 | 北海道、本州の中部地方以北に分布し、寒地の高層湿原でミズゴケ類の中に自生 |
生産者・生産量 | 野生植物 |
主な調理方法 | ムシの材料として使う、白子と混ぜて食べる 等 |
食材の特徴
日本語名はツルコケモモ(クランベリー)。アイヌ語で「湿ったところ(ヤチ)にある赤い(フレ)もの(プ)」という意味でカタとも呼ばれます。8月末頃から果実が食べごろになり、10〜11月の雪が降る時期まで採取できます。直径1cmほどの赤い実は酸っぱくてほんのり甘いのが特徴です。北半球の寒い地域に広く分布し、高原湿地に自生します。アイヌの中では特に樺太に自生します。
歴史的、食文化的位置づけ
ムシと言われる、鮭の皮(コラーゲン質)と栗と混ぜて固めた煮こごりのような冷菓があり、これに、ヤチフレップの煮たものを潰しながら入れる食べ物があります。ムシは、熊送りなど特別な儀式に作られるご馳走です。鮭の皮から採れるコラーゲンとヤチフレプ、栗を使った、ゼリー状の特別なデザートです。暖かいと溶けてしまうので、厳寒期や寒冷地でのみ作られました。アイヌの中でも、特に寒い樺太ではよく作られた料理とされています。
生産を取り巻く状況
浜辺や川辺などの湿地帯に自生していましたが、近年の開発により刈り取られてしまい、自生しているものが激減しています。今後も開発が進めば、更に減少してしまうことが懸念されます。
写真提供:亜璃西社