谷田部ねぎ
2007/8/3
認定日 | アルカ:2007年8月3日 プレシディオ:なし |
生産地 | 福井県小浜市、口名田地区、谷田部集落 |
生産者 | 谷田部ねぎ生産組合(25名) |
生産量 | 18t(生産面積170アール) |
生産時期 | 収穫.出荷期間:5月~9月(薬味用)、10月~4月 出盛り・旬の時期:12月~2月 |
主な調理方法 | 酢味噌あえ(ぬた)、薬味、鍋物など |
問合せ先 | スローフード若狭おばま |
食材の特徴
谷田部ねぎは、曲がった根元と甘みが特徴の伝統野菜で、この地域でしか栽培されてない。通常のねぎは播種から収穫まで同じ場所で栽培するが、谷田部ねぎは2度別な畑に植え換え(伏せ換え)を行う。しかも2度目に斜めに深く植え、それによって土に入っている根部分が大きくなろうと努力し、根元は釣針状に曲がり、土に埋まっている部分がよりやわらかく甘くなる。内部に粘液物質が多く、味わい深い。また、この地区の排水の良いアルカリ性の砂地がねぎの栽培に適している。
歴史的、食文化的位置づけ
谷田部ねぎは、古く中国から伝わってきたねぎの種がこの地で定着したとされる説と、京都で栽培されていた九条ねぎをもとにして誕生したという説の2つがあるが、後者の方が一般的とされている。本格的に栽培が始まったのは、明治初期といわれ、小浜市内で販売していたといわれている。鯖街道で知られる小浜の名物である鯖とも相性が良く、しめ鯖と谷田部ねぎを酢味噌で和えた「ぬた」は、代表的な郷土料理の一つで法事や祝事に欠かせないものである。
生産を取り巻く状況
同じねぎを植えても、気候・土質の関係から谷田部以外ではいいものができないため、生産量に限界があるなか「谷田部ねぎ生産組合」が保存、普及活動をしている。生産者自ら種を作り(6月が種取り)、外部からの品種と交配しないように守っており、原種は福井県農林水産試験場に保存してある。生産者は通年の栽培を目指しているが、4~5月の1ヵ月の期間は栽培できない(9月頃が一番適している)。栽培に手間がかかる谷田部ネギだけでは生計が成り立たないため、おじいちゃん、おばあちゃんが伝統野菜を守っているような状況である。高齢化、後継者不足による生産者数の減少は深刻な問題で、非常に存続が危ぶまれている。