阿波晩茶

2020/9/15

認定日 2020年8月31日
生産地 徳島県上勝町、那賀町
生産者・生産量 生産者数99戸、生産量約24t(2019年現在)
主な調理方法 7〜8月に茶摘み、その後1ヶ月ほどかけて揉捻、発酵などの工程を経る
食材の特徴

空海が伝えたとも、平家の落人が伝えたともいわれのある阿波晩茶は、日本に4つしか残存していない乳酸菌発酵茶です(富山のバタバタ茶、高知の碁石茶、愛媛の天狗黒茶)。茶葉を摘み取る時期が遅いことから、阿波“晩”茶と書く。古くから自生しているヤマチャ’を用い、夏まで大きく育てた茶葉(7月以降)を手摘みで枝からこそぎ取り、釜茹でして揉捻して作られます。各農家によって、少しずつ作り方が異なり、樽で10日~3週間漬け込みます。樽で漬け込むのは、植物性乳酸菌による嫌気発酵させるため。漬け込んだ後、天日干しをし、乾燥させて完成です。
最近の研究では、30種類近い乳酸菌が含まれ、血糖値を抑えたり、整腸作用があったりするほか、抗アレルギーや花粉症などに効能があると、徳島大学福井教授ほか様々な研究者により紹介されています。
味わいとしては、ほのかな酸味と甘みがあり、ほかのお茶とは全く異なります。また、樽への漬け込み期間の違いにおいて、各生産者がごとに味が異なり、酸味の強いものや甘みの強いものなど、バラエティにも富んでいます。

歴史的、食文化的位置づけ

阿波徳島に伝わる伝説によると弘法大師が19歳のとき、約1200年前に、慈眼寺、太龍寺、平等寺、薬王寺建立のため巡錫(じゅんしゃく)の折、この地方に自生する山茶を発見して製茶製法を教えたのが阿波晩茶の始まりだとされています。上勝町・相生地区にまたがる地域で阿波晩茶の製法文化があり合致します。茶の木は日本にもともと自生していたとされる説と外来説がありますが、お茶の文化も仏教とともに伝わったとされています。
茶木はツバキ科ツバキ属の常緑樹で、温帯から熱帯にかけて生育していますが、原産地は東南アジアでインドから中国南部、雲南省に延びる山系が原産地の一つとされています。
製茶の種類は、緑茶、ウーロン茶、紅茶等ががありますが、阿波晩茶もその中の一つの「後発酵茶製法」です。その中でも阿波晩茶は独特の製法でさわやかな旨味と酸味があるお茶である。
この阿波晩茶の製法でカフェインが少なくなり、植物性乳酸菌発酵による整腸として、または高血圧や糖尿にも効果があると大学などで研究が進み新聞で掲載されて注目されています。

生産を取り巻く状況

メディアに取り上げられる機会があると売上が大幅に上がることがありますが、生産者の高齢化は例外なく進んでおり、今後、若い世代が生産者として文化を繋いでいくことが期待されます。

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