花もち

2020/9/15

認定日 2020年8月31日
生産地 ⾶騨地域(主に⾼⼭市・⾶騨市)⾼⼭市丹⽣川町・江名⼦・⾶騨市古川町など)
生産者 飛驒花もち組合高山工房 若林農園 他
生産量 ⾶騨の花もち組合によると、餅⽶の量にして50〜60俵 (3000kg〜3600kg)50⼈× 1⽇20個 ×22⽇間=22,000個程度
生産時期 12月
主な調理方法 炒る、揚げる等してあられとして食べられる。
問合せ先 スローフード飛騨高山

 

食材の特徴

全国的には、餅花(もちばな)などと呼ばれ、⽇本の⼀部地域で正⽉(特に⼩正⽉)に、ヌルデ・エノキ・ヤナギなどの⽊に⼩さく切った餅や団⼦をさして飾るものです。東⽇本では「繭⽟」(まゆだま)の形にする地域が多いと⾔われています。また、⼀年の五穀豊穣を祈願する予祝の意味をもち、左義⻑の⾏事(正⽉⼗五⽇に⾏う⽕祭り)で飾ったり、⾷べたりする地⽅も多いようですが、 ここ⾶騨地域(主に⾼⼭市・⾶騨市)においては、雪深い地⽅であることから、正⽉を彩る花もなく、農家(昔ながらの⺠家)は⽇中でも暗く、⼦どもたちを喜ばせるためにと先⼈達が考え出し命名した呼称のようです。
小さなものは15cmほどのものからありますが、⼀般的には⾼さ30cmほど。大きなものは3メートル前後のものまであるとされています。⽊の株から出た枝に紅⽩のもちを巻きつけ花のように加⼯された餅で、高山もちという岐阜県のもち⽶を100%使⽤しています。福を招くとされる縁起物で、12⽉上旬頃に出荷の最盛期を迎える⾶騨地⽅に古くから伝わる年の瀬の⾵物詩。⾶騨では正⽉の装飾飾りと⾷⽤を兼ね備えた昔ながらの伝統品。

歴史的、食文化的位置づけ

花もちの⼀種に、繭⽟(まゆだま・まいだま)などと呼ばれ、繭の豊収を祈って繭の形に丸めた餅や⽶の粉のだんご作りつけたとされた予祝⾏事が⾶騨へと伝わったものではないかとされています。農耕儀礼のひとつだったものが、後に正⽉の縁起物として商家などでも飾られるようになったそうで、少なくとも400年から450年前、江⼾時代にはこの⾵習が⾶騨にはあったとされています。
また、農作物に対する祈りを込める以外にも、農家においては、どれくらい⽴派なものを飾りつけるかで、その農家を誇⽰する側⾯もあったといいます。

生産を取り巻く状況

現在、⾶騨⾼⼭や⾶騨市古川町で花もち作りに関わっている農家は、インタビューできた⾶騨の花もち組合さん以外は、ほぼ個⼈で農家を営まれ家内制⼿⼯業として作られているのみ。⾶騨の花もち組合も、組合とはいえ、若林さんと中野さんのお⼆⼈が中⼼に活動されるのみで、決して多いとは⾔えぬ状況です。⾶騨地域全体が⽼齢化や過疎化の問題を抱え、伝統⽂化に寄り添う商品の⽣産量などは年々減っていく⼀⽅である。特に⽇本の伝統⽂化や地域の伝統的⽂化と結びつく産品を守る上においては、今回、インタビューした⾶騨の花もち組合のように、地域⽂化を産品として広め、無くさぬ活動をされる⽅々の存在無しには語れません。

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