小瀬菜大根
2006/12/21
アルカ認定日 | 2006年12月21日 |
生産地 | 宮城県加美町 |
生産者 | 早坂良平 |
生産量 | 200本 |
生産時期 | 11月下旬 |
主な調理方法 | 漬物(主に古漬け) |
問合せ先 | 若生裕俊(SF宮城) |
食材の特徴
小瀬菜大根は葉ダイコンの一種で、根がほとんど肥大せず、収穫時でも手のひら程度だが、葉長は70~80cmにもなる。葉茎は漬物、汁の実に利用され、シャキシャキとした食感とさっぱりした味が特徴で「コゼナッパ」とも言われる。根はあまり利用されていなかったが、水分が少なく辛口の大根おろしとなる。小瀬菜大根は宮城県の深部、山形県県境近くにある旧小野田町(加美町小野田地区)の小瀬屋敷という非常に限定された土地でしか育たないとされ、地域外で作ると葉が硬くなるといわれている。
歴史的、食文化的位置づけ
小瀬菜大根は300年以上前から農閑期に小瀬地区だけで栽培され、塩漬けして冬場の保存食としていた。戦後までは小瀬地区一帯で栽培されており、茎部分だけを古漬けにし、他の部分はすべて廃棄していた。昔から、長い葉を折らないように収穫するのが難しく、またいつも寒い中冷たい水で洗うため「嫁泣かせのダイコン」といわれてきた。8~9月頃に種を蒔き、11月下旬に収穫した後、きつめの塩で漬け込み、漬けてすぐの青々したのはもちろん、時間の経過とともにべっこう色にかわった古漬けは格別の味わいがある。
生産を取り巻く状況
戦後しばらくは小瀬地区全体で栽培されていたが、青首ダイコンやハクサイにとってかわられ、作付面積が減少し、小瀬菜大根は絶滅寸前となっていた。1985年頃には行政主導で、婦人部が「二うね栽培運動」で生産に力を入れ、さらに加工も行い直売所で販売していたが、やはり安価でしか売れず、他の漬物との差別化をアピールできなかったため、取り組みは長くは続かなかった。その後、1戸の農家が自家用に栽培するのみとなり、再び絶滅が危惧されているものの、なかなか生産をする人が増えず早急な対策が求められている。