クサヤモロのくさや
認定日 | アルカ:2010年10月23日 プレシディオ:なし |
生産地 | 東京都新島、八丈島、伊豆大島 |
生産者 | くさや:八丈島水産加工業協同組合、新島水産加工業協同組合 ムロ節:石田ミチ子氏、八丈島漁業協同組合女性部 |
生産量 | くさや:約200~300トン ム口節:約1200本 |
生産時期 | 8月~12月(旬は秋) |
主な調理方法 | くさや:軽くあぶって、身をさいてお茶漬けなど ム口節:そのまま、まぜご飯、だし |
問合せ先 | 東京都產業勞動局農林水産部水產課 |
クサヤモロ(Decapterusmacarellus)はムロアジの一種で、八丈島周辺においては、棒受け網漁で漁獲されている。他の魚と比べ脂分が少ないため、質の良いくさや、ムロ節の原料とされている。くさやは、有害な雑菌などをよせつけない「くさや菌」を主成分とした「くさや液」に原料魚を漬けて干すことで、独特の香りと深い味わいとなる島を代表する水産加工品である。ム口節は原料魚を姉で、島に自生する桜やハンノキで燻製にしたものであり、くさやとともに、江戸時代からほぼ変わらない製法で製造されている。
江戸時代のころから伊豆諸島では保存食品として干物を作っていた。しかし、島では塩が貴重品であったことから、この塩水を繰り返し使っているうち、魚の成分が蓄積し、さらに微生物が作用することで発酵し、独特の風味と臭いのある「くさや液」が生まれ、鮮度の良い魚を開いてくさや液に漬け込み干した「くさや」の製造が行われてきた。ム口節は、クサヤモロの燻製であるムロ節は、水で戻して煮付けにして食べられてきた。この煮付けは1月2日に一年の大漁と漁の安全を祈願する「船祝い」で振舞われていた。
くさやは独特の香りが特徴であるが、近年の住宅事情の変化などにより、その香りがあだとなり消費量は年々減少している。生産が盛んな八丈島や新島においてさえ、若い世代はくさやを敬遠し、さらに消費者、生産者ともに高齢化が進んでいる。また、比較的価格の安い他産地のムロアジも流通するなかで、地元産クサヤモロの需要が少なくなり、クサヤモロを専門に漁獲する漁業者も減少を続けている。このような状況の中で、産地では地元産の原料に極力こだわったくさやの生産に取り組み、地元の伝統的な漁業の存続にも寄与している。ム口節は製造技術を持つ人の高齢化や減少により、一時は製造がほとんど行われていなかった。近年、島内でそのよさが見直され、地元漁協女性部が普及に向けて取り組んでいる。