ニホンミツバチとそのハチミツ
アルカ認定日 | 2015年5月22日 |
生産地 | 本州及び周辺諸島の標高1000m以下の森や里山、都市部の公園など |
生産者 | 産業養蜂として業とするものは50名~100名程度 |
生産量 | 年間全国で30t程度 (統計数字がないため正確には不明) |
生産時期 | 秋から初冬が一般的な採蜜時期 |
主な調理方法 | そのまま食べる(薬蜜として)、 かき氷やくず切りにかけると美味しい。 |
問合せ先 | 有限会社アグリクリエイト (所属CV名:スローフード銀座) |
ニホンミツバチのハチミツは「山蜜」、「地蜜」などの名で珍重され、セイヨウミツバチが花の香りを多く残し甘味が後を引くのに対して、豊かな熟成香と独特のコクと深みがあり、複雑な味わいだがとてもまろやかで切れが良いのが特徴である。ハチミツは花蜜が濃縮されただけのものではなく、唾液中の酵素群により、ショ糖は転化されて、グルコースとフラクトースになり、同時にグルコン酸をはじめとする多種の有機酸が生成する。また、複数の酵母を含み、含まれる酵母や有用細菌の違いもハチミツの味や香りに反映される。とてもまろやかな味である。
ニホンミツバチは日本に固有の分布圏をもつミツバチである。分類学上はトウヨウミツバチの1亜種としてあつかわれ、古から「和蜂」ともよばれた。青森県下北半島を北限として、南限は鹿児島県奄美諸島である。ニホンミツバチによる「養蜂」について、文献上にはじめて登場するのは「日本書紀」とされ、平安時代に入ると、諸国から宮中への蜂蜜献上記録が見られるようになる。ニホンミツバチの養蜂が本格的に行われるようになったのは江戸時代からといわれ、蜂蜜は全国各地で産するが薬店ではすべて熊野蜜の名で売られていたという状況も記載が残っている。
明治時代の開国と同時期(130年前)に西洋種のミツバチが導入され絶滅が心配されながらも、したたかに生きてきた。この蜂の魅力は、熱帯アジアのジャングルで身につけた「すばしこさ」と、北国の長い冬を乗り切る「息の長さ」、高湿度にともなう「病原菌への抵抗性」等を兼ね備えているところにある。しかし、1960年代からの約50年で日本全国に開発の波が押し寄せ、ニホンミツバチのすみかや蜜源となる森が次々と伐採されると同時に、「食料の安定確保」という理由で年々使用量が増えてきた農薬の問題などをかかえている。特に農薬問題では人に対しての毒性は低くても、神経系や免疫系に作用し浸透性と残効性を兼ね備えたネオニコチノイド系の殺虫剤の影響などで、営巣数が減少している。