長面浦の焼きはぜ

2005/11/27

アルカ認定日 2005年11月27日
生産地 宮城県石巻市
生産者 榊照子
生産量 500連(1連に10尾)
生産時期 10月
主な調理方法 雑煮のだし、甘露煮
問合せ先 若生裕俊(SF宮城)

食材の特徴

漁が行われる長面(ながつら)浦は、7本の淡水が交差する入り江でその周囲1300haは豊かな広葉樹林が多く、栄養豊富な入り江が形成されており、そこで捕れるハゼの味は格別である。9~12月の間は漁が解禁となり、刺し網で漁獲される。焼きはぜの製法は一匹ずつハゼを竹串にさし、薪火でじっくり焼き、大きさをそろえてわら縄で連ね、約一週間、天井から吊るして炉端の煙で薫製にする。だしがよく出る良質の焼きはぜを作るには、新鮮なハゼを使うこと、焼き加減を見極めることが大切。

歴史的、食文化的位置づけ

長面浦は昔はハゼの宝庫として知られ、普段の味噌汁のだしにも使われ、多くの人々が焼きはぜ作りをしていた。主に宮城の伝統的な正月料理「焼きはぜの雑煮」に使ったり、だしをとった身を昆布巻きの中に入れたりした。いつから雑煮にハゼが使われたのかは定かではないが、焼きハゼでだしをとり、そのまま丸ごと具として盛られた雑煮は非常に豪華である。長面浦以外で松島湾でも焼きハゼは作られているが、燻製にするのは長面浦のみである。

生産を取り巻く状況

伝統的な正月料理として焼きはぜをだしにしたお雑煮があったが、家庭で正月料理を作らなくなったことや、だしは鶏がらや簡単な人工調味料に変わってきたことなどから焼きはぜが使われなくなり、現在は一般家庭ではあまり見かけなくなった。長面浦では、榊さん一家が3代にわたり昔からの製法を守り、作り続けているだけである。今後は地域ぐるみで長面浦の環境と焼きはぜの製法を守っていき、仙台雑煮の復活と同時に、だしの需要を増やしていくことが必要である。

関連記事