シマナー
登録日 | 2021年5月10日 |
生産地 | 沖縄県全域・名護市二見 |
生産者 | 名護市二見の在来種の種継ぎが行われているものは、二見あかカラシナ生産組合で生産している。 |
生産量 | 二見あかカラシナ生産組合:生産者数3名、総生産量約1〜1.2t(2020年度) |
生産時期 | 12〜5月(涼しい、虫が少ない)が旬の時期。夏場は育ちにくい(気温が高すぎる、虫が多い) |
主な調理方法 | ・チキナー(塩もみ)、チキナーの漬物、チキナーイリチー ・基本的に生食はしない ・調理法としては、青もあかも変わりはない |
シマナー(赤カラシナ)は、アブラナ科のカラシナの一種で、その姿は一般的に広く知られているカラシナ(青)とほぼ同じですが、緑の葉の葉脈が赤紫色であることが特徴です。沖縄では現在、青いカラシナも「シマナー」と呼ばれ親しまれていますが、元々は沖縄在来の赤カラシナのことを指していました。9世紀ごろに中国から青いカラシナが渡来し、種取りのを手作業で行う必要があるシマナーに比べ、中国・県外産の青いカラシナは種を簡単に手に入れることができ、虫もつきにくく育てやすいという理由で次第に青いカラシナが主流になっていきました。シマナー栽培にはおおよそ40〜45日かかり、天敵はキツジノミハムシです。夏場は虫が多く、気温も高すぎるため育ちにくく、12〜5月頃が旬の時期です。調理法としては、青いカラシナも赤カラシナも大きな変わりはなく、塩もみしたものをチキナーと呼び、チキナーの漬物やイリチー(炒め物)としてよく食べます。基本的に生食はしません。
名護市東海岸で今もシマナーの種を守り続ける農家さんの話によると、沖縄戦後1960年頃には学校給食がパン・脱脂粉乳・チーズが主食だったため、そのおかずとして家からチキナーを持参してサンドイッチして食べていたそうです。同地区では、あるご夫婦が約100年前から先祖代々在来の種を継承していますが、その方のお母さんが戦時中も焼けないように大切に保管してきいてくださったことで、種が守られたそうです。その後も、在来のシマナーの種継ぎは続きましたが、雑交配が進んでしまった結果、青と赤が半分ずつになった色の葉が出てきてしまっていたため、地域の農家さんが戻し交配に取り組み、現在では97%ほどまで戻ることに成功しています。この地域の種を守るため、2017年に戻し交配を行った生産者さんを中心に地域の生産者の皆さんで、二見あかカラシナ生産組合が立ち上げられました。沖縄の中でもシマナーの自家採種をしている事例はとても少なく、二見地区の夫妻が継いできた固定種は、非常に貴重な種と言えます。
沖縄全県的に広く自生しており、また栽培されていたシマナーは、種取りをする必要がなく簡単に種が手に入り、虫がつきにくく育てやすい青いカラシナが入ってきたことで大幅に減少しました。現在も、沖縄県内各地のファーマーズマーケットなどで、チラホラと見かけることはできますが、地域の在来の種を守り継ぎ生産に取り組んでいる事例は名護市二見地区の二見あかカラシナ生産組合のみです。二見あかカラシナ生産組合は現在3名で、地域内には、組合には参加していないが、シマナーを生産されている方はいます。組合は発足当時から参加メンバーが高齢で、農業が続けられずにやめてしまった方もこれまでいました。生産量は年間、一人あたり300〜400㎏で、地域生産量としては1〜1.2tです。現メンバーも皆さんご高齢の事から、今後の継承についてどの様に取り組むかについて、地域では検討協議が行われています。二見あかカラシナ生産組合のつくるシマナーは、以下の販売所で取り扱われています。
・名護東海岸のファーマーズマーケット
・名護市のファーマーズマーケット
・名護市の一部スーパー