天龍村の柚餅子

2021/11/4

登録日 2021年10月20日
生産地 長野県天龍村
生産量 年間約300個
主な調理方法 薄くスライスしてそのまま食べる
食材の特徴

柚餅子とは、保存食の一つで、柚の中身をくり抜き、皮の器の中に、砂糖やクルミ、胡麻等をと混ぜ合わせた「練り味噌」を詰め込み、2時間ほど蒸した後、自然乾燥で約2〜3ヶ月かけて一つ一つを丹念に仕上げた、独特の風味と香りがある珍味です。乾燥させている間は、中心部までしっかり乾燥する様に、定期的に全体を揉むことが重要です。
柚餅子に使う柚子(ゆず)は、村内の天竜川沿いの標高600m以下の畑で穫れる柚子の実を11月頃に収穫します。

歴史的、食文化的位置づけ

全国的にも、「柚餅子」といえばクルミの入った餅菓子として広く一般に販売されていますが、今回味の箱船として登録された柚餅子は、保存食として伝統的に作られてきた柚餅子です。保存食として練り味噌を柚子に入れた乾燥させる柚餅子も全国複数の地域には存在しており、戦国時代に起源を持つと言われています。天龍村で代々作り続けられている柚餅子もその一つです。今から500年ほど前の戦国時代には、武士の携帯食として重宝され、武士以外にも山での仕事の時に食べるなど、おかずとして庶民にも愛されていました。
昔は、囲炉裏の上で乾燥を行い、柚餅子が固くなりすぎないように瓶に入れ土に埋めて保存したようです。

生産を取り巻く状況

「天龍村柚餅子生産者組合」は、昭和50年に地区の生活改善グループを母体として結成されました。「柚餅子(ゆべし)」の開発は、過疎化が進む中、主婦の視点から地域の活性化を模索し、かつて地区に伝わりながら消えようとしていた武士の携帯食を後世に残そうと挑戦したのが始まりです。
天龍村柚餅子生産者組合は、過疎化・高齢化の影響で組合員が減少し、2018年3月に解散してしまいましたが、現在は、天龍村の地域おこし協力隊OB、OGらでつくるNPO法人「ツメモガキ」が、県最南部の坂部地区に伝わる保存食「柚餅子(ゆべし)」の継承に取り組んでいます。

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