ゆうこう

2008/10/31

認定日 アルカ : 2008年10月31日
プレシディオ : なし
生産地 長崎県長崎市 (土井首地区、外海地区)
生産者 小中龍德、日宇スギノほか(自給的な使用で販売は ほとんど皆無)
生産量 ゆうこうの樹 土井首地区52本、外海地区 64本
生産時期 9月中旬~3月 (12月に果実が黄色に着色する) 出盛りは11月下旬~
主な調理方法 酢の物、料理の香り付け、薬味、パンなどの加工品
問合せ先 鹿尾ゆうこう生産振興会、フェルム・ド・外海 (所属CV名 スローフード長崎)

 

食材の特徴

ゆうこうは、ユズ、カボス、レモンといった香酸柑橘類の一種で、見た目はユズやカボスに似ている。熟すと外皮も果肉も鮮やかな黄色になり、果汁は多く、果肉は瑞々しく柔らかで苦味はほとんどない。成熟すると果皮はザボンやユズのように甘い香りがする。種が多いのも特徴。近年、新種の果実と確認され、成分分析の結果、抗アレルギー性や血中の中性脂肪を分解したりする働きがある成分(ヘスピリジン)など含み、機能性食品としての可能性も注目される。

歴史的、食文化的位置づけ

ゆうこうの来歴はいまだに不詳で、江戸後期から明治初期にはすでにあったのではないかと考えられている。長崎県長崎市の土井首(どいのくび)地区と外海(そとめ)地区のみで実生しており、ともに深堀・鍋島藩領だった地域かつ教会周辺に多く分布していることから、同藩や隠れキリシタンに関連した歴史が伝えられている。ゆうこうの利用方法としては、酢の物や鰯などの青魚の調味料、子供のおやつや飲み物代わり、お風呂に浮かべたり、風邪をひいたときなどの薬の代わりとして愛用されてきた。

生産を取り巻く状況

ゆうこうは、他の柑橘類とともに屋敷の敷地や畑に植えられ、自給的に利用されてきた。しかし、1960年代に入り、第一に、温州みかんの導入・産地化に伴い、交雑が恐れられたこと、第二に、手軽に購入・利用できる酢などの調味料が普及したこと、第3に、野菜用の畑を増反するのに邪魔となったこと、第4に、樹勢が強く高木となり、実が採取しにくいことなどから、「ゆうこう」は急速に地域から姿を消していった。土井首地区では、都市化・宅地化の進展がその衰退に拍車をかけた。ゆうこう樹を増やして地域の特産品として活用する動きがあるなか、接木ではなく、種をまいて育てていく時間をかけた継続的な取り組みが必要となっている。

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