北川村実生ゆず
2013/8/23
アルカ認定日 | 2013年8月23日 |
生産地 | 高知県安芸郡北川村の全域 |
生産者 | 北川村実生ゆず研究会会員 |
生産量 | 21トン(2011年度) |
生産時期 | 9月から10月中旬(青玉の収穫) 11月から12月中旬(黄色玉の収穫により果汁の生産) |
主な調理方法 | ほとんどが酸果汁用 |
問合せ先 | スローフード高知 |
食材の特徴
ゆず自体は広く日本各地にみられるが、接ぎ木ではなく、種から育てる実生のケースは珍しい。実生のゆずの果汁は接ぎ木のものに比べて香りが高く酸味や風味がしっかり感じられ、香りの持ちも長いと言われている。北川村に伝わる伝統的かつ歴史的な系統で、高知県で現在栽培されているゆずの元となったものが栽培されている。無農薬・無肥料の自然栽培を原則としているが、肥料については有機肥料のみ使用を認めている。ゆずの枝は高く上に伸びる性質があり、実生ゆずでは、ほうき状に5~10数メートルの樹高となっているものも多い。
歴史的、食文化的位置づけ
安政の初め頃(1854~1860年)、村は大地震に見舞われて農民は被害に苦しみ、飢饉で疲弊し、塩を買うことも出来ない状態となり、幕末の志士・中岡慎太郎は、地域に多く自生しているゆずに着目し、ゆず果汁をお酢や塩代わりに防腐剤や調味料として使うことを考え、栽培を奨励した。高知県ではゆずにこだわる人の間では「実生ゆずの方が香りが高くおいしい」とされ、特別の価値を有している。ゆずの収穫期になると、絞りたての実生ゆず果汁は価値あるものとして、親戚や知人への贈り物として使われてきた。
生産を取り巻く状況
実生のゆずは、実をつけるまで20年近くかかる。なおかつ、味や香りのよいものは、50年以上のものだとされている。収穫は、傾斜地で、樹高が5~10mを超えるものも多い中、高枝ハサミを使用したり、長いはしごに登るなどして果実を一個一個収穫している。そのため、生産性はきわめて低く、作業も大変である。そのため、実生のゆずの味や香りの優れている点は認めているものの、生産者は高齢化し、絶滅の危機に瀕しているといえる。