トペニ

2021/5/17

登録日 2021年3月31日
生産地 北海道、秋田に自生
生産者・生産量 野生植物
主な調理方法 後述
食材の特徴

トペニはアイヌ語で「乳汁の木」「甘いもの」という意味です。日本語名はイタヤカエデで、カエデ科の落葉高木です。日本では北海道と秋田、他に朝鮮、サハリン、アムール地方に自生しており、北海道産のものはエゾイタヤ(蝦夷板屋)とも呼ばれます。早春の花が咲く前の頃に、樹皮に傷をつけ、そこから樹液を採取します。

歴史的、食文化的位置づけ

北米原産のサトウカエデの樹液から作るメープルシロップが有名ですが、アイヌ文化でも同じカエデ科のトペニから甘い樹液が取れることはよく知られていました。授乳中の母親がおっぱいが出なくなったときには、トペニにカムイノミ(神への祈り)をして樹液(じゅえき)をもらい、それを飲むとおっぱいが出る様になると言われていました。砂糖などがないアイヌの暮らしの中では、貴重な甘味料だったと言われています。取った樹液を雪で冷やして飲んだり、凍らせて食べたり、煮詰めて飴にしたり、樹液でご飯を炊いたともいわれています。樹液だけでなく、この木はカムイノミなどの儀式に使うイクパスイ(捧酒箸:神に捧げる為に酒をつけて振りまく箸)の材料ともなりました。木が傷まない様な切り口の付け方や、採取して良い樹液の量などをアイヌの人々は知っており、みんなでそれを守って自然と共生していました。

生産を取り巻く状況

都市開発でアスファルト舗装などをしたことにより、だんだんと自生できる環境がすくなくなってきています。トペニを味の箱船に推薦した「スローフードコミュニティ アイヌ食を守るアイヌ女性の会」の拠点である札幌では、ほとんど見当たらなくなっています。


写真提供:亜璃西社

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